木曽と開田高原とえごまの「なるほど!」な関係

以前には「えごま」の名前を口にすると「え?ごま?」と聞き返されることが多かったものですが、近年、健康への有用性が医学の分野から高く評価され、おかげ様で「えごま」は一躍有名になりました。

木曽と開田高原とえごまの「なるほど!」な関係

木曽には、「五平餅」という、この地域ならではのソウル(魂)フードがあります。すり鉢で突いて粘りを出したご飯を、ヘラや串に挿して(この形も地域によって異なります。)焼き、そこへ更に砂糖と味噌・醤油等々で甘じょっぱくしたタレを、塗って焼くのが五平餅。このタレに欠かせないとされているのが「えごま」です。「えごま」が入っていないタレは、どこかどうしても物足りないという、地元ではなくてはならない食材なのです。

開田高原ならではのえごまダレの食べ方

ここで興味深いのが、標高の高い開田高原ならではの、「五平餅」とは別の、「えごまダレ」の食べ方があるところです。開田高原では、擂った「えごま」を出汁醤油に溶き、地元で採れたそばを使って「そばがき」や、「うきふ(そば粉を丸めて茹でたもの)」に付けて食べていました。今ほど米の品種改良が進んでおらず、栽培が難しかった当時を偲ばせる逸話ですね。

さて、ここ開田高原でこの「えごま」は、家庭毎に栽培して受け継がれてきた種を持っており、近代化の進んだ今でも、それを毎年栽培し、種子を更新しているのです。また、この「えごま」独特の葉の香りを、野生の獣が嫌う事が以前から伝えられており、忌避効果による獣害の軽減も期待されています。

地元農家と「開田高原えごま生産プロジェクトチーム」を設立

当組合では、そうして細々と受け継がれてきた種を増やすことで、「えごま」を安心・安全に皆様の毎日の生活に取り入れる事が出来るよう、安定した生産量を確保したいと願い、平成27年4月に「開田高原えごま生産プロジェクトチーム」を設立しました。このプロジェクトで品質を向上させることにより、郷土の食文化や風土に一層の誇りを持つこと、獣害の軽減、そして、生産農家を増やすことで農地の荒廃を防ぐことを目的としています。

「長野県 地域発 元気づくり支援金事業」の活用

この活動主旨にご理解いただき、長野県単独事業「地域発 元気づくり支援金」を活用して、生産に必要な施設、機械の購入や整備を行いました。目録は以下の通りです。

平成28年度

  • 栽培試験関連費用 一式
  • 播種機 スキップシーダー 一台
  • 多目的電気乾燥庫 一台と設置に伴う電気工事 一式
  • 電動唐箕 一台
  • えごま栽培・商品開発先進地視察 島根県川本町、大田市

平成29年度

  • 全面マルチャー 一台
  • 水分計 一台
  • 乾燥用パイプハウス、乾燥棚の設置

以上